第一資料に基づいて、アメリカ軍による高松空襲を独自の研究でレポートします。
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防空壕への避、空襲時に防空壕に逃げるのは危険?
市民の空襲中の行動として防空壕に避難したという事が考えられる。そのため、防空壕について考察していきたい。
防空壕については数多くの証言者が語っている。そして、戦時中の高松ではいたる所に防空壕が作られる。しかし、作りは市民の手作りの簡単な作りのものが多かった。
防空壕の意味は「国語辞典」では、(空襲の時に待機するため、地面を掘ってつくった横穴や地下室。)と記載されている。すなわち、空襲から身を守るために作られたものと言える。
ここで、1つの疑問が生まれる。高松市では空襲時は火消しを行い逃げる事は許されないとされていた。にもかかわらず、空襲から身を守るための防空壕が数多く作られていた。この問の答えとなるのが以下である。
「(・喜田清 亀井町) 防空壕へにげるなどは病人か幼児の筈であった。」
「・爆弾が投下されたら防空壕に入ってもいいが、焼夷弾の降下で防空壕に逃げ込む者は、常に非国民であり卑怯者であると教えられていた。」
以上の事柄を考察してみると、爆弾の攻撃の時は市民の力によって、被害を最小限に抑える事はできないので、防空壕を使用する事は許されている。すなわち、爆弾での空襲時は市民は逃げる事が許されていると言う事である。そして、焼夷弾攻撃の時には、火消しによって、被害を抑える事ができると考えれていたために、防空壕は火消しに参加できない人(病人や幼児)しか使用してはいけないと考えられていた事が分かる。
次ぎに高松空襲において防空壕が空襲中どのように使われていたかや、どのような意味合いを持っているかを検証していきたい。防空壕に関する証言は高松空襲体験者の多くの被災者の人達が記述している非常に重要な部分である。
「(・帰来富士子 天神町)近くの防空壕に飛びこんだ。(中略)警防団員が「ここにいては危ない。みんな外へ出てどこへでも走れ」とどなった。(中略)公園付近で、はじめてとびこんだあの壕も、まっ向から爆撃をうけて原型をとどめていなかった。」
「(・中嶋貞夫 天神前)これ以上、壕の中に居ては危険であるから避難しよう。」
「(・戸祭恭子 中新町) 大きな防空壕があったのでそこへとびこんでびっくりした。煙にまかれて窒息した人が折重なって死んでいる。」
「(・横山久恵)弁護士さん1家4人が防空壕の中でむし焼きのようになって全滅していた。」
「(・佐々木恒夫 今新町)1家3人は、数ヶ月して、白骨となって、家の裏の防空壕で発見された。」
「(・喜田清 亀井町)北の方に火勢の弱い所も見られたものの、その方角は海、南への郊外への道も、西側の紫雲山に通ずる道も、壮絶に燃える火の壁、東の市街はそれ以上の炎の大城壁(中略)「お母さん、ぼくの学校へ行こう」(中略)「みんな来まいよ、防空壕があるぜ」(中略)此れが1発、私の壕の上に落ちていたならば、私は1巻のおわりだった訳である。」
「(・下津汎子 南新町)防空壕の中でむし焼き状態で亡くなりました。そこは亀井町の笠井様の防空壕で、当時立派で近所でも有名だったので、入れてもらった人たち10名位がなくなりました」
「(・桑田尚悦 宮脇町)運動場の防空壕にはいらざるをえなかった。」
「(・井上昭 宮脇町)その壕に朝まで居るように(中略)朝、壕から出て、見ればぼくたちの周辺には、焼夷弾1本落ちていませんでした。」
以上の事柄を考察してみると、防空壕に逃げ込んだために死んでしまったケースが多くみられる。また、空襲が始まり、いったんは防空壕に逃げるが、途中で、防空壕を後にするケースも多く見られる。
空襲中、防空壕で過ごして、命が助かった人達は、空襲が比較的少なかった地域や学校の運動場の防空壕などである。
防空壕の中で死んでしまった人達の死因は煙にまかれる、蒸し焼きになる、焼夷弾や爆弾の直撃、などである。
多いのは、煙にまかれたり、熱さによる死因である。すなわち、建物が密集している地域では、回りに燃えるものも多いために、火災による、熱の上昇や煙が多く発生する。そのために、建物が密集して、しかも建物が多く焼失した地域では防空壕に逃げ込むという行為が逆に死因に繋がって、逃げ場を失って死んでしまったケースが多い。
また、喜田氏のように空襲が激しく建物の焼失が激しかった地域でも、学校の運動場のように回りに建物がないという場所の場合は爆弾や焼夷弾の直撃をくらわない限り、防空壕に逃げていれば命は助かるという訳である。
防空壕に関して全体的に考えてみると、空襲時に命を守るために、作られて、利用されたものが、逆に、防空壕が死因の原因となっている事である。
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